ストーリー
ある神話
天上界から遣わされた二柱の武神は、地上の邪悪な神、草木、石の類のものをみな平定した。
征伐できなかったのは星の神だけだった。
それで織物の神〈倭文〉を派遣すると服従した。
名だたる武神が勝てなかった星の神を織物の神 倭文神が従わせる。
なぜ織物の神が勝つのか。
星の神を従わせる力とは何か。
倭文とはどんな織物なのだろうか。
旅するカジの木
日本人に忘れられようとしている木がある。
その木は、木綿(コットン)が普及するまでは、最良の衣料となる繊維植物だった。
カジの木。中国南部が原産地とされる。
数千年前、〈海の民〉オーストロネシアンが、台湾を玄関口にして、東南アジアや南太平洋の島々へ拡散していったとき、舟に乗せて運んだ。
カジの木の樹皮が〈衣〉として今も使われているパプアニューギニア、インドネシアのスラウェシ島を訪ね、〈衣〉とは何かを問う。
倭文は光 暗い世界の邪気を祓う
カジの木を携えた流れは日本にもやってきた。
縄文や弥生時代の遺跡で、カジの木の種子が発見されている。
『日本書紀』や『万葉集』にカジの木の樹皮を糸にして織られた幻の織物〈倭文〉が登場する。
しかし、現物は残っておらず、その実態は謎に満ちている。
カジの木の糸の白さは光の象徴。
光の糸を織った布として、〈倭文〉は神聖な祈りの対象であった。
それぞれの倭文
現代の織りを担う4人、山口源兵衛(帯匠)、石川文江(楮布織)、西川はるえ(染織家)、妹尾直子(紙布・樹皮布)らが、3年がかりでカジの木の樹皮を使い〈倭文〉の創造的復元に取り組む。
それは過去の復元ではなく、新しく現代に通用する〈倭文〉の創造だ。
第一線の織物作家たちが、
日本神話に秘められた謎から聖なる布を織り出す!
コメント
冨永 愛(本作語り/モデル)
麿 赤兒(本作出演/舞踏家/俳優)
コムアイ(本作出演/アーティスト)
中沢 新一(思想家)
ひろいのぶこ
(造形作家/染織研究/京都市立芸術大学名誉教授)
四方 幸子
(エコゾファー)
大小島 真木
(アーティスト)
近衛 はな
(俳優/脚本家/詩人)
石川 文江
(本作出演/楮布織)
山口 源兵衛
(本作出演/帯匠)
西川 はるえ
(本作出演/染織家)
妹尾 直子
(本作出演/紙布・樹皮布)